ちとせの先生たちわたしたちの想い
「自ら考える」ことが、
いっそう大切な時代
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吉田 秀司 先生
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小池 千沙 先生
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冨岡 裕美 先生
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久保田 順子 先生
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原田 芳英 先生
ちとせでは、先生、職員、そして子どもに対して、「自ら考える」姿勢を大切にしています。
今回、東京の各園の園長先生に集まってもらい、どのように先生同士で保育の方針やちとせの想いを共有しているのか、
また保育の質の向上に努めているのかを伺いました。
各園では、どのような点を意識して子どもと接していますか。
小池先生
「子どもが自分でできることを増やす」ことを意識しています。当園は0歳から2歳までの子どもが中心なので、本人が自分で考えるのは難しいですが、声かけをしながらサポートすることで変わるものがあると考えてます。
冨岡先生
私も同様ですが、それに加えて「日本の未来を担う子どもたち」という視点を持ち、「この子どもたちが世界で活躍していくために、私たちは何ができるのか」を考えています。ちとせが掲げる「問題解決能力」「自律性」を育むために、子どもたちが自分で考えられるような取り組みは何か、先生の声かけはどうするのが適当なのか、常に自らに問いかけています。
原田先生
0歳から5歳までの5年間は、「人生の基礎」を築く大切な時期です。そこで培われてきたものが、子どもたちの力や武器となっていくと考えています。 ちとせが目指している「自律性」「主体性」は、これからの人生における「自分で考えて行動する」場面、すなわち選択や決断が迫られた場面において、その価値を発揮します。何を思考し、どのような行動をとるか。その時の選択に、この時期に培われたものが生かされるならば、私たちに何ができるのだろうか。そういったことを常々考え、実践できる環境を作ることが、私たちの仕事だと思っています。
久保田先生
みなさんと同意見ですが、子どもの自律を促す中で、<考えさせるを、考える。>を実現するためには、声かけをはじめとしたコミュニケーションをどのように取ればいいかを、現場の先生と職員とともに考えています。
「先が見えない」「絶対の正解がない」時代において、自らの頭で考える姿勢はとても重要です。考える力を身につけることをすべての基準として保育に取り組んでいます。
吉田先生
ちとせがこれまで培ってきた保育のプログラム・カリキュラムは上質なものであると認識しています。それを子どもたちに伝えていくのは現場の先生。どんな高品質な食材も、調理方法で魅力が変わってしまうのと同じように、良いものを、どのように子どもたちに伝え、届けていくのかが大切だと思っています。
これまで培ってきた歴史を背景に、どのように子どもたちに届けていくべきか。保育者一人ひとりがどのように子どもたちと関わり、あるべき姿を目指していくのか。このようなことを常に考えています。
現場の先生や職員にちとせの考えを伝えていくために、どのような取り組みをしていますか。
小池先生
全体の取り組みとしては、法人全体の研修とエリアごとの研修があります。エリアごとの研修では、プロジェクト会議を立ち上げて、保育の質を上げることを目的に、みんなで話しながら気づきを生みだしていく。そういったことを行っています。
当園の先生たちは様々な場所からきているため、背景もそれぞれです。そういった中で園長である自分たちが現場に入って、ちとせの想いと考えを落とし込んでいっています。
久保田先生
先生と職員の年齢層は幅広く、力量も様々ですし、新人もいればベテランもいる。そのような環境でも、全体とエリアの研修があるから、保育者同士の信頼関係を築くことができていっているのかなと思います。
吉田先生
久保田先生の言う通り、全員が前職も背景も様々なので、同じところを目指していくのって難しいんですよね。だけど、想いや考えを揃えることはとても大切。「国が目指す保育に対して、ちとせはこうしていきます」ということを、しっかりと言葉で伝えることで理解してもらっています。
冨岡先生
東京の園全体における取り組みとしては、ちとせの想いをしっかりと理解している保育者をキーマンとして各園に配置し、浸透させる仕組みを作っています。
当園の取り組みとしては、気づきをシェアする場を設けています。子どもを見守っていて、いつもと違う点があれば必ず気づくので、発見したことをできるだけ多くの職員同士がシェアできる場づくりをしています。
原田先生
ちとせのスタンスのひとつとして、「とにかくやってみよう」があります。まず一歩踏み出す。そうすることで、その先が広がっていくんです。 冨岡先生の取り組んでいるような場作り、仕組み作りはとても大切ですが、それらは園長である私たちが積極的に仕掛けて、初めてできるもの。法人の目指すビジョンを共有し、園長同士がつながりを持って、同じ想いで進んでいくことが大切だと考えています。
ちとせの大切にする「自ら考え行動する」姿勢は、大人になってからでは身につきにくいと思います。まだ至らない先生、職員にはどのように向き合っていますか。
吉田先生
先ほど、「絶対の正解はない」というお話がありましたが、それは裏を返せば、複数の答えが考えられるということ。当たり前と言えば当たり前ですが、そういったことを伝えていく。だから、都度考えなければいけないんだよと。そうすることで、思考の柔軟性が身についていくと思います。
原田先生
例えば現場の先生から相談があった場合、自分たち園長は、意図的に「どうしたらいいと思う?」と返すんですね。そうすると先生が、「どうしたらいいんだろう」と、思考を働かせ始める。日々の現場においては、答えを与えるのではなく、考えて答えを出していくトレーニングを行っています。
冨岡先生
現場の先生たちには、「こうしてください」と指示するのではなく、考えるきっかけを与えることが大切です。そう問いかけられた先生たち自身も、子どもに「どうすればいいと思う?」「どうしたい?」と問いかけていくことで、考えるとは何か、また相手に考えさせるとはどういうことかを知っていく。「考える」というキーワードが、ぐるぐる回って、職員たちが自ら気づき、そして子どもの保育につながっていくのではないでしょうか。