ちとせの先生たちわたしたちの想い

「この園に通ってよかった」と、
思ってもらえる保育を

  • 樺山 貴美江

    樺山 貴美江 先生

  • 岸上 美和

    岸上 美和 先生

  • 河本 律子

    河本 律子 先生

  • 出井 みどり

    出井 みどり 先生

ちとせでは”Home”を理念とするとともに、<考えさせる、を考える。>をメッセージとしています。
今回、各園の園長先生に集まってもらい、どのようなことを考え、日々保育に向き合っているのかを伺いました。

「考えさせる」という点において、日々どのようなことを意識しながら、子どもと向き合っていますか。

河本先生

ちとせでは、自ら考える主体性、自律性を大切にしていますが、手洗いひとつをとっても、子どもにとって考える力を身につける機会です。水道の蛇口をひねれば水はでますが、子どもにしてみれば、蛇口そのものが学びの一つ。それをひねって、水を出して、手を持っていって洗う……という当たり前の動作でも、子どもからしたら当たり前ではない。生活の中でこういった機会はたくさんあります。

大人からすると当然のことも、子どもにとっては学びになる。

河本先生

思いっきり蛇口をひねったら、水が勢いよく出てきますよね。それを大人は知っているから、びしゃびしゃに濡れることを嫌がって、周囲の大人が水量を調節し、「手を洗って」と指示してしまう。しかしこれでは、子どもの学びにつながらず、考える機会を奪ってしまっていると思うんです。子ども自身が蛇口をひねったらどうなるのか、どのくらいひねれば求める水量になるのかを、自らの手で経験する。それだけで、考える経験につながると思うんです。時間も手間もかかるので、こういったことは園でしかできないかもしれませんが、失敗してもいいからやってみるという経験を、たくさんさせてあげたいと思っています。

そういった考えて行動する経験が、将来どのように役に立っていくと思いますか。

出井先生

保育者が子どもたちに「こうしなさい」「これはだめ」等々とその都度言っていたら、子どもたちも自分で考えず、すぐに諦めてしまうことが多いと思います。いろんなことを試してみることで、これがうまくいかなかったら、次はこのやり方でやってみようと考え、思えることが大切だと思います。次の方法を考えたり、自分で考えて行動することで、子どもたちのこれからの人生を生き抜く力に繋がっていくと思います。

ちとせでは、そういった考える習慣は、保育者にも求められています。
先生や職員が「考える力」を身につけるために、何か取り組んでいることはありますか。

岸上先生

みんなで意見を出し合うことをよくしています。例えば、感染症の流行でプール遊びができない時がありました。夏にしかできない遊びなので、その時は先生も少し困惑があったように思います。しかし「今年の夏はもっと違うことをして楽しもう!」という発想に切り替えました。
その時はたくさんアイディアがでて、あれもやってみよう、これもやってみたいという話になり、先生が子どもたちの楽しむ様子を思い浮かべながら遊びを考えていきました。

樺山先生

園長をはじめとした上の立場にある人が意見を押し付けるのではなく、現場の意見を吸い上げながらみんなで考えていく。新しいことに対して失敗を心配するのではなく、だめだったら違う方法を考えようというのは、ちとせらしさですよね。

私も先日、若手の先生に同様の話をしました。子どもがあるテーマに対して意見を出し合い、意見を取り入れていく「子ども会議」をしたのですが、その時、自分の司会のやり方が正しかったのかどうかを、その先生は悩んでいたんですね。だけど、「うまくいかなかったことがあっても、それは失敗じゃなくて今後の課題として捉えればいいんじゃない?」と伝えたら、「そうなんだ!」と思ってくれたようでした。

出井先生

先生のやる気をそがないようにする、というのも大切だと思います。承認は、子どもだけじゃなくて大人にも必要。その先生の良いところを見つけ、認めて、改善すべきところはしていく。そうすることで、先生たちのモチベーションが向上していくと思います。

心的な面では、どのような思いを持って、子どもとコミュニケーションをとっているのでしょうか

出井先生

今では感染症の心配もあるし、それを除いても園では毎日いろんなことが起こります。何かあると、「自分がだめなのかな」とか、「もし、こうなってしまったら……」とよくない方向に考えがちですが、先生が不安を抱えていたりネガティブだったりしたら、子どもたちにも影響すると思うんです。だからこそ、常にポジティブに切り替えていこうと思っていますね。

河本先生

私も同じですし、また心的な面で頑張ろう、元気でいようって思えるのは、園長同士が仲良くてなんでも相談しあえる関係だからだとも思うんです。園の出来事において、最後に責任を負うのは私たち園長だから、プレッシャーもある。同じ立場で相談できる人がいるのはいいなと思います。

子どもたちにとって、ちとせはどんな園でありたいですか。

樺山先生

ちとせの理念は”Home”ですが、子どもたちには、いつか振り返った時に「この園に通ってよかった」と思ってもらえるような保育をしたい、そんな園でありたいと、いつも思っています。
日々様々なことが起こりますし、色々な問題もあります。だけど、いつかどこかのタイミングで、子どもたちに「ちとせは本当に楽しかった」「私はあの時、みんなに愛されていたんだ」と、思ってもらえるような保育ができればいいなと思います。

岸上先生

保護者と子どもは、たくさんの園がある中で、ちとせ交友会を選んできていただいています。ここで過ごす時間は一生のうちの長くても5〜6年。この短い時間を、すごく幸せな、笑顔あふれる宝物がいっぱいつまった時間にしてあげたい。卒園しても、「また遊びにきたいな」「遊んで楽しかったな」と思えるような保育を、子どもたちにできたらいいなと思いますね。