ちとせの先生たちわたしたちの想い
自ら考える力は、将来に生きてくる
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寺口 美里 先生
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清水 千夏 先生
<考えさせるを、考える。>を方針に掲げる、ちとせの保育。
現場の先生はどのような点を大切にしながら、日々子どもと向き合っているのでしょうか。
現場ではどのような点を意識して、子どもと接しているのでしょうか。
寺口先生
ちとせの理念は”Home”。園は、家と同じくらい長い時間を過ごす場所なので、家庭にいる時と同じくらい安心して過ごせる場所になればいいなと考え、保育をしています。
清水先生
私も同じです。私が担当している1歳児は、その日の体調によって機嫌がだいぶ変わってきます。そのため、家庭との連携をしっかり取りながら、その時々の子どもの様子に応じた保育を目指していきたいと思っています。また1歳児は、成長がはっきり出やすい時期。そのためできることが少しでも増えたら、都度しっかりと褒めるよう意識しています。
寺口先生
成長といえば、私は5歳児を担当しているのですが、そのくらいになってくるとできることがとても多くなります。そのため、大人が手を伸ばしてやってしまいがちなことも、できる限り、子ども自身でやるよう配慮しています。
自分のことは自分でできるようにと、ちとせでは「見守る」保育を実践しています。見守るために大切にしていることはありますか。
寺口先生
5歳児の場合、言葉のやり取りができるので喧嘩も起きやすくなる。しかしそんな時は私が解決するのではなくて、その場で双方の話を聞きながら、お互いの気持ちをお互いが伝えられるような配慮をしています。
具体的には、当人同士で話ができるように、「ちょっとこっちで話そう」と言って、2人で話ができる環境作りをする。そして当人同士に話してもらいつつも、こういうことをしたら相手がどんな気持ちになるかっていうのを、改めて一緒に考えてもらっています。最後には、相手がこういう気持ちになるからこれはしない、もしくは危ないからしないっていうのを、きちんと理解してもらうようにしています。
清水先生
新しい玩具が出た時や、普段したことがない経験をする時は、友達とのトラブルや危険が起きやすいため、より注意して見守るようにしています。
よくあるのが、遊んでいた玩具を他の子が取ってしまうこと。そういう時は取ってしまった子どもに対して、「貸してほしいって言葉で伝えることが大切だよ」「取られた子は悲しい気持ちになるんだよ」と伝えながら、相手の気持ちを想像し、理解してもらえるよう努めています。
寺口先生
子どもって1〜2年で、すごく成長します。1歳では相手の気持ちがわからなかったとしても、3歳では相手を思いやれるようになっていたり、苦手なことができるようになっていたりする。自主性、自律性を大切にするのは前提で、年齢や状況に応じた保育が大切なんだと思っています。
子ども自らに考えさせる、という点で、何か気をつけていることはありますか。
清水先生
1歳児の場合、最初は自分でズボンを履くことさえ難しいけど、そこをできるだけ子ども自身ができるように意識しています。どうやって足を入れたら履きやすいか、どうズボンを持っていったら通しやすいのかって、子どもにとっては初めてのことだし、難しいことなんですよね。そんな小さいことでも、子どもが考えながらやることで、少しずつ考える力が身についていくんじゃないかなと思っています。
寺口先生
5歳児クラスでは、給食の準備を子どもたちでしているんですが、お茶をこぼしてしまうことがあるんですね。
普通だったらそれに対して「こぼさないように」って言ったり、大人がサッと拭いてしまったりすると思うんですけど、そういう時は「どうしたらいいかな」と、あえて問いかける。そうすると「拭かなきゃ」という答えが返ってくるから、「じゃあ拭こうか」と。小さなことですけど、生活のあらゆる場面で問いかけることで、考える力が身についていくと思います。
清水先生
これが4歳の頃だと、「お茶をこぼしてしまった。どうしよう」と慌てるんですけど、5歳頃になると、台拭きか雑巾か、自分で判断して手にとり拭く、洗って絞って片付けるっていうのを、先生が言わなくてもするようになるんです。そういうところを見ると、子どもってすごいなと思うし、経験を通じて考える力が確実に身に付いていると感じます。
そういった経験が、子どもたちの将来に役に立つイメージはありますか。
寺口先生
すごくあります。自分のことは自分でやるという習慣がついている方が、できることがどんどん増えていくし、例えば小学校に上がっても、先生にどうすればいいかと全部聞かなくても、自分で考えて積極的に行動できるようになる。確実に将来のためになるんじゃないかと思いますね。
清水先生
小さい頃から自分で考えて動いていると、誰かの指示を待つということがなくなる傾向にあると思います。何か起きた時、「どうすればいいんですか」と聞くのではなく、「どうしたらいいんだろう」って思考が先にくる。小さい頃から自分で考える力を身につけることで、習慣になるのかなと思います。
寺口先生
大人になればなるほど、そういった自ら考える力は必要とされていくので、小さな頃から身につけるのがいいと私も思いますね。