お知らせ

ちとせ交友会法人研修 IN オランダ(後編)

2024/08/01

オランダでの視察では、保育園、幼稚園、小学校の視察をさせていただきましたが、どの施設でも「子どもが主人公」という印象をうけました。私たちも子ども主体の保育を意識して保育を実践していますが、見習うべき工夫がありましたので、保護者の皆様にも共有させていただきます。
 

ちとせ交友会法人研修 IN オランダ(前編)

自分で計画して遊ぶ(学ぶ)子ども達

4~5歳児のクラスでは朝登園したら、どこで何をして遊ぶか自分で決めてから1日が始まります。

どのコーナーで遊ぶか、名前札をコーナーに掛けて活動スタート

上記の写真のように自分の名札をボードにかけたり、PCのモニター上で好きなコーナーにサインインしたりしていました。
各コーナーには定員があり、安全に、また十分な量の教材を使ってひとりひとりがしっかりと遊び込めるように工夫がされています。おもちゃの取り合いや、使いたいものが使えなくてイメージ通りの作品が作れないというストレスはコーナーの人数を決めることで解消されます。
また、途中で遊びを変えたくなった時にも どのコーナーに変われるか、または遊びたいコーナーが満員の時には、他のコーナーを選ぶという経験(自分の気持ちを自分で切り替える)また、変わってもらえるように自分で交渉するという機会も経験できます。

 

「自分で選んで遊びを決める」ということは、大人の思考からすると特別なことではないですが、子どもの思考では、難しいことです。教室にはいくつの遊びのコーナーがあることを知り(目に入ったことにとらわれがちな年齢ですが、全体を把握することができます)またその中で自分が何をして遊びたいか、自己対話をし、決めたコーナーをみんなに知らせ、主体的に活動し、時間になったら片づけるという経験の積み重ねが毎日できます。決めるためには、全体把握、自己対話、そして自分で決めたことの責任が伴います。
先生や大人が決めたことをこなすのではなく、自分で決めて、自分で考えて活動し、時間になれば活動の片付けを自分で行う。集団の中で皆が満足して、心地よく活動できるような環境の工夫だと感じました。

4、5歳児の子ども達と先生がサークルになり様々な事を話あっています

当法人の自由遊びは、子どもの発達や興味を考慮して4分割の遊び環境を用意して、子どもの様子を見ながら遊び環境をアップグレードしています。オランダでは、クラスに用意している活動のコーナーのすべてを最初に示して、その中から子どもが選んで、責任もって遊んでいる姿を見せていただきました。

 

「ひとり、または友達と集中して遊ぶ」という自由遊びの時間のねらいを達成するためには、この方法も良いのでは? と実験的に取り入れ始めた園もあります。
これまでサインインせずに遊んでいましたが、自分で遊びのコーナーを決めて、ボードに自分の名札を動かしてサインインして遊ぶようにすると……
 

「今まで友達としか遊べなかった子が、自分ひとりで遊び始める姿」
「今まで遊んでいなかったコーナーで遊び始める姿」
「今まで見たことのない組み合わせのメンバーで遊び始めた姿」
などが見られ始めたそうです。
 

「自分で決める」大切さやそれに伴う責任を子どもが果たしている姿を見て、自分で決める大切さを改めて感じました。
遊びのあとには、サークルタイムで「活動で楽しかった事」や「発見した事」などをクラスみんなと共有していました。
 

自分の体験をクラスと共有する時間も子どもにとっては良い時間だと思いました。子どもは子どもから学びます。学び合いの中から和やかで民主的な子ども集団が出来ることを見せていただきました。
ちとせ交友会でも民主的に話し合える子ども集団を育てて行きたいと思います。ご家庭でも、子どもが自分で決める機会や自分のペースで活動を完結できるような機会を増やしてみてください。子どもを信頼して任せることがとても大切だと思います。

ちとせ交友会 統括園長 山口和代

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